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旅も登山も風景や花があって、幸せを感じます。豊かな気持ちになれます。

童話「狐と狸」
むかしむかし、山奥の木陰で、狐と狸がある相談をしていました。
「このごろ、平和だった山に人間がやってきて、木を切ったり我々の仲間を弓矢で射たりし
て、おちおち出歩けない。こちらは人間の邪魔をしないようにしているのに迷惑な話だ。」
「そうだそうだ。こちらの領分に入って来ないようにしなくっちゃならない。」

ということで、人里に下りて行って人間を化かして懲らしめることになりました。
狸は、自分が妖怪に化けることは得意ですが、人を化かすのは苦手です。
狐はそれとは反対に、人を化かすのがうまいのだといわれています。

狐が年を経ると体中の毛が金色になり、尻尾が九つに分かれるといいます。
これを「こんもうきゅうび(金毛九尾)の狐」と呼びます。
こうなった狐は神通力を持ち、何にでも化けることができるのです。
しかし九尾の狐は、人間には悪い事をするのだと、昔から伝わっているのです。

この狐が人里近くまできたとき、真面目そうな若者が歩いてくるのが見えました。
「ようし、この若者をだましてひどいめにあわせてやろう。」と狐は思いました。
森から出る前に、若くて美しい女性にばけました。
そのうえに、若者の同情を引きやすくするために病気のふりをして、道端にうずくまること
にしました。
通りかかった若者が、うんうんうなっている女性に化けた狐に、親切に声をかけました。
「どうしたんですか?どっか具合がわるいのですか?」
「はい、お腹がひどくいたいのです。どこか休める場所はないでしょうか。」化けた狐がい
いました。
「私の家は少しとおいので、この近くにある長老のところにごあんないしましょう。」と親
切に言って優しく抱きかかえると、長老の家まで運びました。

人間も長く真面目に努力して年をとると、いろんな知恵が身につきます。
長老は、その女性を一目見るなり、これは狐だとみやぶりました。
「これ狐。正直者の若者をだまして何をしようというんじゃ?」
ばれたと思った狐は「こ~ん」と鳴いて正体を現すと、あっという間に逃げ去りました。

次は狸の番です。
狸が山を下りて、人里との境界線にきたとき、そこでは子供たちが集まって相撲を取ってい
ました。
「ようし、ここでこの子たちをまずおどかしてやろう。」とおもいました。
狸だって、古だぬきと呼ばれるようになるほど年をとり、経験をつまないと、化けることは
できません。
まずは一つ目の入道に化けましたが子供たちが驚かないので、次は唐傘のお化けになりまし
た。サービスに大きな赤い舌をベロベロと動かすと、それが面白いとこどもたちが大よろこ
びしました。

驚くどころか、あんまり子供たちが笑うので、狸はがっかりして正体を表してしまいました。
子供たちは、面白がって狸に聞きました。
「一体、何しに来たの?」
「人間たちが山を荒らして困るから、おどかして近寄らなくさせようと思ったんだ。」
「な~んだそんなことか。でも、人間はおどかしちゃあだめなんだ。ちゃんとわけを話して
仲良くするようにしなくては上手くいかないんだよ。」
「いいよいいよ、大人たちに言って、山では乱暴なことをしないようにしてもらうから、大
人しくこのまま帰りな。まごまごしていて捕まると、狸汁にして食べられちゃうかも知れな
いよ。」
仲良くなった子供たちは親切でした。
狸は、喜んで山に帰っていきました。
それ以後、狸が里におりてくることはありませんでしたが、狸は親切な子供たちに何かお礼
をしなくてはと思いました。
それで、月夜の晩になると、腹をぽんぽこ鼓のように打って、音楽を届けるようになりました。
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