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読み聞かせ童話「価値のあるビリ」
マミちゃんは、ピカピカの一年生となって、幼稚園の時からの仲良しであるサキコちゃん
と同じ小学校に入学しました。
いつも一緒に学校に通っていました。
マミちゃんは、まだ小さくて運動は苦手でした。
夏休みがすぎるとすぐに、運動会がありました。
「かけっこ」の競技があって、5人づつにわかれて競争で走るのです。
順番をまっている間、マミちゃんは、しんぞうがどきどきしてたまりませんでした。
「よ~いどん」いっせいに走り出しました。
マミちゃんはいっしょけんめいに走ったのですが、ビリになってしまいました。
なかよしのサキコちゃんは一番でした。
自分はビリでしたが、おともだちが一番だったことがうれしかったので、家に帰るとゴー
ルテープを切るサキコちゃんの絵をかいて、次の日に渡してあげました。
走るのはにがてでしたが、お絵かきは一番じょうずでした。
サキコちゃんは「ありがとう」といって、とてもよろこびました。

二年生のときの運動会も、マミちゃんはビリでした。
三年生の夏休みは、いっしょけんめい走ることを練習して、早く走れるようになっていま
した。
「よ~いどん」いっせいに走りだしました。
夏休み中いっしょけんめい練習したマミちゃんは、一番さきを走っていました。
ところがなのです。半分くらい走ったとき、ヨチヨチ歩きの子が、お母さんが目をはな
したすきに、コースに入ってきてしまったのです。
よけようとしたマミちゃんは、大きくころんでしまいました。
ほかのお友達たちは、よこをかけぬけていきました。
大きくすりむいてしまった膝小僧はとてもいたかったのですが、マミちゃんはたちあがると、
最後まで走りました。
ビリになってしまいましたが、運動場にいたみんなが、拍手してくれました。
サキコちゃんがまっさきにかけよってきて、抱きしめてくれました。
「かけっこはビリになっちゃったけど、マミちゃんはお絵かきはいつも一番じゃない。」と
いって、なぐさめてくれました。

大人になったマミちゃんは、絵のコンクールで賞をとれる立派な画家になりました。
サキコちゃんは、陸上競技の選手になって、大きな大会で金メダルをとりました。
お祝いに駆けつけたマミちゃんに、サキコちゃんがいいました。
「私がここまでなれたのは、マミちゃんのおかげよ。あなたが小学校の一年生のときに描
いてくれた絵は、額に入れていつもそばに飾ってあるの。苦しいときにはいつも、その絵
が、私を励ましてくれたの。」

生涯を初等教育に捧げた東井義雄氏が「一番より尊いビリだってある。」と仰っています。
氏は、師範学校でマラソン部に属し、4年間ビリを独占していたそうですが、「俺はビリか
ら逃れることはできなくても、日本一のビリにはなれる筈だ。ビリが恥ずかしいことでは
ない。怠けることの方が恥ずかしい。」と言っていたのだいいます。

「ビリであることで卑屈になったり、心まで貧しくなったりしなければ、困っている人や弱
い人の気持ちが理解できる。全てのことにビリであることはないから、一番の分野でビリ
の味がわかる動きができる。不遇のときは、力を蓄えている時期だと信じる方が強く生き
られる。」と、常に口にしていたのだといいます。
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