かれこれ10年ほども前になろうか。白根山にのぼったとき、斜面のガレバ一面に、指先くらいしかない小さなコマクサがたくさん芽を出しているのを見た。
絶えてしまったのを悲しんで、この地に再生しようとしているのだが、このくらいの大きさに育つのは、タネを蒔いてから7年は必要だとの説明があった。
その後、家内が鹿嶋槍ヶ岳から五龍岳に縦走しているとき、岩場で手招きしているおじさんがいるので近寄ったところ、まだ内緒の場所だけど、私がタネをまいたのだといって、小さく葉を出しているコマクサを見せてくれたという。
「白根山の中腹でも同じような光景を目にしたことがある。」と話したところ、「あれも私が白馬山で採取した種を蒔いたものなんです。」といって、持参していた本を見せてくれたのだと、帰宅するなりすぐ聞かせてくれたことを思い出します。
八ヶ岳でも、タネをまいたことによって育ったという所がありますが、最近は行く先々でコマクサを見ることが多くなったように思います。
心無いひとが、あとさき考えずに乱獲したり踏み荒らしたりして絶えてしまったものを、他の援助もないところで復活させるご苦労は並大抵のものではないと思うのは全くその通りなのですが、それでも敢えて言いたいことは、綱を張ったり柵で囲った自然なんていうものがあるのだろうかということ。
もっと鼻持ちならないのが、正義の味方面してものを言って歩く監視員みたいなのが出てくること。
大多数は節度や配慮を心得た人なのに、故ない注意をされて砂を食むような思いに至らされたのではないかと見て取れるような場面に遭うことがよくあります。
私みたいに、「人を見てものを言え。」なんて強く返せるのは滅多にいないんだから。
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